地域医療研究会in魚沼 解説1

 

 

 

 

大会長 黒岩卓夫

9月16.17.18日の地域医療研究会 、全国大会in魚沼について、皆さんがその意義とプログラムの内容の何がどう面白いかを私なりに解説しますのでよく読んでください。

1、大会の主旨と歴史的役割はプログラムの文面をみてください。

2、基調講演は猪飼周平先生です。
演者の名前ははじめてで、取っ付きにくいと思いますが、わかりやすく説明します。
1)猪飼先生は、医師ではなく社会学者です。東大の経済学から、今は一橋大学社会学の教授です。先生は
10年ほど前に「病院の世紀の理論」という本を出し、病院の世紀の終焉と在宅ケアを立派に展開して
いました。
2)地域包括ケアにしても、高齢者だけ対象ではだめだ、障がい者も、経済的困窮者もあらゆる差別を受け
ている人たちも全てが安心して暮らせる地域でなければならないと提言しています。従って高齢者ケ
アの2025年を特別の年としなくてもよいということになります。
3)人は誰でもその人であって、生態系の多様性(あらゆる動物植物の多様性、棲み分け)に劣らず、一人
一人が違うんだ、だからお仕着せのケアはありえない。
現状に即して言えば、ソーシャルワーカー的な役割こそ大事で、それが出来る人を増やすことだ大切
だと述べています。
個人の人生・生活の目的はわからない。そして個別的で複雑である。換言すればその豊かさを支援す
るのが生活モデルと言っています。
4)そして先生は、社会保障ではなく、生活保障であり、生活保障は生活に困難をいだいている者全てに生
活支援・ソーシャルワーカーを届けることが目標だと述べています。また「生活モデル」という概
念も大切にしており、これは障がい者福祉やリハビリの理念から生れたもので、病気→機能障害→能
力障害→社会的不利という障がい者モデルも改めて考えたいと提言しています。いわゆる「リハビリ
テーション」の大切さの確認でもあります。

3、魚沼医療再編への歩み
1)明治維新による近代化と病院の建設
南魚沼では明治10年頃に病院たるものが散見されただけで、昭和20年の敗戦まで病院はなかった。
2)戦後、県が多くの公的病院を県立病院として育て、県下15-16病院を経営した。県立六日町病院もその
一つで、分院にあたる診療所も薮神、浦佐、東、さらに塩沢方面にもあった。
3)昭和51年、旧大和町に町立病院と特養、保健センターを一体化した「大和医療福祉センター」がつく
られ、医療・福祉の新しい理念と共に新しい時代の到来を告げた。
これを機に病院建設(県立六日町病院の移転新築、斉藤記念病院・五日町病院など)の波が押し寄
せ南魚沼は一変した。大和病院・八色園のインパクトによるものである。
4)さらに故河内実先生の発案で、社会福祉法人(自治体も出資している)が生まれ、次々と特養などが建
設され福祉の新時代が幕明けした。
5)そして医師の都市集中と地域や地方での医師不足の到来の中で、魚沼地域での地域完結型の新しいシス
テムづくりを県が提案し、高度救命センターの魚沼基幹病院がの建設が実現した。